はじめての遺言書:自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリット/作成の手順

「まずは自筆証書遺言で済ませるか、公正証書遺言で確実にするか」。
遺言の方式選びで迷う背景には、家族構成や資産の変化があります。
このコラムでは、はじめての遺言作成を考える方にも伝わる判断軸を提示し、作成の段取り、記載でつまずきやすい点、保管制度の上手な使い方を平易な言葉で解説します。
相続トラブルを避け、意思をまっすぐ実現するための道筋を整えます。

目次

方式の違いはここだけ押さえる(最小限の比較表)

項目自筆証書遺言自筆証書遺言+保管制度公正証書遺言
費用感低い低〜中中〜高
無効リスク比較的高い低め(検認不要)低い(公証人関与)
保管自分で保管法務局で保管公証役場で保管

判断軸と向き・不向きの丁寧な整理

財産や相続人がシンプルで、コストを抑えたい場合は自筆証書遺言でも機能します。
ただし形式不備や紛失のリスクが付きまといます。
自筆証書遺言保管制度を併用すれば、家庭裁判所の検認が不要になり、保管と検索性が向上します。
一方で、相続人が多い、前婚の子がいる、不動産が複数ある、事業承継を含む——こうしたケースは、公正証書遺言を選ぶことで、将来の無効リスクと争いの芽を大幅に減らせます。
証人の確保や下準備は必要ですが、原本保管も含めて制度的な安心感が得られます。

作成の段取りと文案のポイント

最初に財産と相続人の棚卸を行い、誰に何を渡すのかを具体名・具体番号で特定できる状態にします。
不動産は所在・地番、家屋番号、持分まで明記し、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号を記載します。
自筆証書遺言の場合は、全文・日付・氏名を自書し、訂正の際は訂正箇所を示して署名押印するなど方式に忠実であることが重要です。公正証書遺言の場合は、公証役場に下書きを送り、修正コメントをもらいながら文案を整えます。証人二名は利害関係がない成人を確保し、当日の持参物とスケジュールを事前に共有すると滞りません。

遺言作成の成功例/失敗例

成功例:公正証書遺言で再婚家庭の円満設計

60代のCさんは再婚で、前婚の子と現配偶者が相続人。
自宅と賃貸アパート、預貯金が主な財産でした。公正証書を選択し、自宅は配偶者に相続、賃貸アパートは収益の一定割合を前婚の子に回し、不足分を預貯金で代償分割とする設計に。
付言事項で理由と感謝を丁寧に残し、証人を手配して公証役場で作成。原本保管と写し管理まで整え、家族の合意形成がスムーズに進みました。

失敗例:自分のみで自筆証書遺言を作成し「方式不備」で無効に

Dさんは自分のみで自筆証書遺言で作成しましたが、日付の欠落不動産の特定不十分(地番未記載)が致命傷となり、相続開始後に有効性が争われました。
遺留分への配慮もなく、家庭裁判所での調停に発展。相続人間の対立が長期化しました。
最終的に公正証書遺言で作り直し、代償分割と付言事項で配慮を明文化したことで合意が成立。
最初から方式と記載の要件を満たしていれば、時間と費用は最小化できたといえるケースです。

つまずきやすい点と回避策をもう一段具体的に

日付の欠落、署名や押印の不備、財産の特定が曖昧な記載は、実務で頻出するミスです。特に不動産の所在や地番、預貯金の支店名など、日常の会話では省略しがちな情報ほど、文書では欠かせません。遺留分への配慮が不足すると、たとえ遺言があっても家族の感情的な対立が残ります。代償分割の設計や、なぜその配分にしたのかを付言事項で説明するだけでも、受け止め方は大きく変わります。保管制度を利用する場合は、受入番号の管理と所在の周知、鍵やパスワードの整理まで一体で進めると、実務の安心度が上がります。

Q&A(初めての方向け)

Q. 夫婦で1通にまとめられますか?
A. 日本法では共同遺言は認められていません。お一人ずつ作成します。

Q. 将来の引っ越しで住所が変わったら?
A. 基本的な意思が変わらなければ有効ですが、不動産の表示や連絡先が変わる場合は見直しをお勧めします。

Q. 証人は誰に頼めばよい?
A. 利害関係のない成人が望ましいです。私たちで手配も可能です。

Q. 自筆から公正証書に切り替えられますか?
A. 可能です。既存の自筆遺言を参考に、文案を整理して公証役場で作り直します。

Q. 家族信託と併用するべき?
A. 生前の資産管理や承継設計には家族信託が有効です。遺言と役割が異なるため、両輪で考えると安心です。

まとめ

方式の違いを理解し、文案を具体に落とし込めば、遺言は“思いを形にする”強い味方になります。私たちはヒアリングから文案作成、証人手配、公証役場との調整まで一気通貫で伴走します。迷ったらまずは状況を共有してください。最適な方法を一緒に設計します。

遺言・相続設計のご相談は、家族構成と資産の概略(わかる範囲)をお知らせください。初回はご事情を丁寧に伺い、最適な方式選びのアドバイスと文案のたたき台まで無料でご提示します。自筆・保管制度・公正証書のいずれにも対応し、文案作成→証人手配→公証役場との調整まで一気通貫でサポートします。お電話・LINE・お問い合わせフォーム、いずれからでもどうぞ。

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