宅建業免許(知事/大臣)ここだけ見ればOK:要件・保証金・専任宅建士

不動産の売買・賃貸の仲介を“業として”行うには、宅地建物取引業(宅建業)の免許が必要です。
このコラムでは、まず知事免許と大臣免許の違いをシンプルに押さえ、次に欠格要件・役員要件の確認の仕方、専任宅建士と事務所の実在性、標識や表示のルール、保証金と保証協会の選択、そして必要書類の作り方までを、初めての方にも伝わる順序で丁寧に解説します。書式の書き方に終始せず、審査で問われる“実態”をどう示すかに焦点を当てる構成です。

目次

免許の仕組み(知事/大臣の違い)

宅建業免許は、営業所の設置状況により「知事免許」と「大臣免許」に分かれます。
営業所が一つの都道府県内に限られる場合は知事免許、二以上の都道府県にまたがる場合は大臣免許です。
ここでいう営業所は、単なる名義上の所在地ではなく、継続的に業務を行う人的・物的体制を備えた拠点を指します。将来の拠点拡大が具体化していないなら、まずは知事免許で開始し、拠点追加の段階で大臣免許へ切替える方法が実務的です。免許の有効期間、更新手続、変更届、名刺・広告の表示、標識の掲示など、免許後の維持管理も一体で意識しておくと、のちの手戻りを防げます。

区分の選び方と計画の立て方
どちらの免許を選ぶかは、現在の事業計画と半年〜数年先の出店計画を突き合わせて決めます。
特に大臣免許は手続範囲が広がる分、確認事項や書類も増えます。
採用・教育・監督体制、契約書や重要事項説明書の保全方法、クレーム・苦情窓口、顧客情報保護など、複数拠点で統一運用できる仕組みを先に固めておくと移行がスムーズです。逆に当面は一県内で営業する場合、知事免許で十分です。いずれの免許でも、営業所ごとに専任宅建士と、顧客対応ができる常駐者を配置する計画を立てましょう。

欠格要件と役員要件の確認

審査の第一関門は、申請者が欠格要件に該当しないことの確認です。欠格要件には、一定の刑罰・行政処分歴、暴力団関係、破産手続の状況などが含まれ、法人では役員・政令使用人も対象となります。実務では「該当しない」ことを証明するために、本籍地の身分証明書や登記されていないことの証明書、履歴事項証明書、誓約書など、複数の証明を重ね合わせて整合を取ります。過去の処分や懲戒がある場合でも、期間の経過や改善措置、再発防止体制を具体的に説明し、社会的信用を回復していることを示せば、判断の材料になります。

役員・政令使用人の確認手順と名寄せ
法人では、代表者だけでなく取締役・監査役、支店長等の政令使用人まで確認対象です。
ここで重要なのは“名寄せ”です。氏名(旧姓含む)・生年月日・住所の表記を全書類で一致させ、履歴事項証明や住民票の履歴、戸籍の附票などで連続性を示します。
旧商号や本店移転がある場合は、履歴事項証明の記載を基準に、契約書・申請書・誓約書の表記を揃えます。もし解釈に迷う点があれば、提出前に所管庁へ事前相談を行い、必要な説明や補足資料の方針を確認しておくと安全です。

専任宅建士・事務所要件・標識

宅建業では、各営業所に“専任”の宅地建物取引士(専任宅建士)を置くことが求められます。
専任とは、当該営業所に常勤し、他社勤務や過度の兼務で専任性が損なわれていない状態を指します。
宅建士証の有効期限管理、雇用契約や就業規則、勤務表やタイムカードなどで専任性を客観的に示しましょう。専任宅建士は、重要事項の説明や37条書面の記名押印、帳票管理の中核も担うため、教育計画と文書管理の仕組みづくりも同時に整えると、実地の監査に強くなります。

事務所の実在性・独立性をどう示すか
営業所は、来客対応・帳票保管・電話・PC・書庫などの設備が常設され、継続的に業務ができる独立空間である必要があります。住居の一角を利用する場合は、生活空間と明確に区分されていることを写真や平面図で示します。シェアオフィスでは専用ブースの確保、受付との連絡手段、郵便物受領体制など、実務が滞らない運用を説明すると理解が進みます。標識(免許証番号・免許権者名・商号・代表者名など)は入口または見やすい場所へ掲示し、ウェブサイト・名刺・広告にも免許情報を整合的に表示します。表示のルールを社内マニュアル化しておくと、担当者交代時のミスを防げます。

専任宅建士の専任性と体制づくり
専任宅建士の配置は「人数」より「専任性」が重視されます。ダブルワークや他社役員兼務は専任性を損ねる可能性が高いため、雇用契約・賃金台帳・勤務表で常勤性を丁寧に示します。宅建士証の更新スケジュール、法定講習の受講計画、重要事項説明書・契約書・重説添付資料の保存年限と保管方法、電子契約の運用ルールなどを文書化し、監査に備えます。支店を新設する場合は、各拠点に専任宅建士が必要となる点を前提に、採用・教育・配置計画を早期に立てましょう。

保証金か保証協会か?メリット比較

宅建業者は、取引の安全のために「営業保証金を供託する」か「保証協会に加入する」いずれかの方法を選びます。創業初期は初期負担の小さい保証協会を選ぶ例が多い一方、資金に余裕があれば供託で機動的に開始する選択もあります。ここでは両者の特徴を一望し、選び方の実務視点を解説します。

項目保証協会加入供託(営業保証金)
初期負担弁済業務保証金分担金(比較的少額)高額の営業保証金を供託
維持・運用年会費・書類提出・審査あり保管管理・一部変更時の供託替え
スピード入会審査の所要あり資金があれば即時に供託・開始可能
実務相性帳簿・統制が整うと運用しやすい資金に余裕があればシンプル

選び方の実務ポイント

保証協会は、入会審査や年次報告があるため、会計・内部統制・帳票管理が一定水準にあると相性が良く、創業期の資金繰りに配慮しやすい方法です。供託は初期資金を拘束する反面、日常の手続負担が少なく、解約や移転時の手順も比較的シンプルです。どちらを選ぶにせよ、顧客保護という制度趣旨を踏まえ、預り金管理・重要書類の保全・苦情対応を運用規程に落とし込むことが不可欠です。将来的に拠点を増やす場合は、切替手順・費用・タイミングも事前に試算しておきましょう。

必要書類一覧と作成のコツ

必要書類は、個人・法人で若干異なりますが、共通して「本人・役員の確認書類」「事務所の実在性資料」「専任宅建士の資格・勤務資料」「免許情報の表示に関する資料」などに大別できます。
法人なら履歴事項証明書・定款・役員の略歴・誓約書、個人なら住民票や身分証明書、そしていずれも本籍地の証明書や登記されていないことの証明書が代表例です。これらは発行先が分散し、有効期限も異なるため、収集の“順番”が要です。時間がかかるもの(本籍地の証明・卒業証明等)から先行し、鮮度が求められるもの(残高証明・一部の証明書)は提出直前に揃えます。名称や住所の表記ゆれ、旧姓・旧住所の扱い、商号変更や本店移転の履歴がある場合の名寄せを、一覧表で管理するとミスが減ります。標識やサイト表示は、免許番号・免許権者・商号等の記載順や表記を統一し、名刺・広告・ウェブのすべてで整合を取っておくと審査が円滑です。

作成・提出の進め方と注意点

申請様式の記入は、社内書類と法定様式の表記を一致させる“整合の作業”です。重要事項説明書・契約書・帳票の保管方法や年限、電子契約・電子帳簿保存への対応方針も、提出前に社内規程として文章化し、監査時に示せる状態にします。提出は基本的に窓口ですが、一部は郵送・オンラインの受付がある自治体もあります。受理印付き控えの確保、補正連絡の手段と期限のメモ、標識の準備、専任者の名刺・表示の刷新など、免許後の立上げも逆算しておくとスムーズです。疑問点は遠慮なく事前相談で確認し、指摘事項はメモに残して修正計画に反映しましょう。

まとめ/ご相談のご案内

このコラムが、宅建業免許の全体像を段取りよく理解する助けになれば幸いです。アクシスサポート行政書士事務所では、欠格要件の確認から専任宅建士の体制整備、事務所の実在性資料の整え方、保証協会/供託の選定支援、申請書の作成、事前相談の同席、補正対応まで、ワンストップで伴走します。個別事情に応じた最適なスケジュール表とチェックリストを用意し、安心して免許取得へ進めるようサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

結論ポイント

  • 免許区分は拠点数で決定し、当面は知事免許、拠点拡大時に大臣免許へ移行という設計が実務的。
  • 欠格要件は役員・政令使用人まで確認し、旧姓・旧住所を含めた名寄せで整合を担保する。
  • 専任宅建士は“常勤かつ専任”の実態を、雇用契約・勤務表・宅建士証で客観的に示す。
  • 事務所の実在性は写真・図面・設備一覧で説明し、標識・名刺・ウェブ表示の整合を徹底する。
  • 保証協会か供託かは資金・スピード・運用負担で選び、将来の切替費用や手順も事前に把握する。
  • 書類収集は“時間がかかる→鮮度が必要”の順で段取り、提出前に名寄せ・有効期限・押印を最終点検する。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次