古物商許可の申請書には「行商をする/しない」を選ぶ欄があります。ここでいう「行商」は、営業所以外の場所で古物の取引をすることを指します。催事出店や古物市場での取引、相手方の住所へ赴く出張買取などは「行商」に当たるため、予定がある場合は申請内容を一致させる必要があります。
古物商における行商とは
行商の意味(何をすると「行商」か)
「行商」とは、自分の営業所以外で古物営業を行うことです。
警察の解説では、たとえば次のようなケースが「行商」の例として示されています。
- 古物市場に出入りして取引する
- 取引の相手方の住所に赴いて取引する(出張買取)
- デパート等の催事場に出店する
「行商あり・なし」が実務に与える影響
申請書で「行商しない」を選ぶと、原則として営業所以外での対面取引(出張買取・催事出店など)を前提にした営業設計にできません。一方、行商をする場合でも、後述のとおり「買い受け(受取り)」には場所の制限があるため、行商=どこでも買い取れる、ではありません。
ネット販売における行商の取り扱い
「ネット販売が『行商』に当たるかは、営業実態と所轄の運用確認が必要になる場面があります。
インターネットで売買すること自体と、営業所以外で取引すること(行商)は、申請上は別の論点として整理されています。
まず、古物営業でいう行商は「古物商が営業所以外の場所で行う古物の取引」を指します。
取引の相手方の住所・居所での売買、展示即売会、仮設店舗での売買なども行商に含まれる、と警察庁の解釈資料で整理されています。
一方で、ウェブサイトを使って取引する場合は、行商とは別に「ウェブサイトを利用して古物の取引を行うかどうか」や、該当する場合はURL等の届出が申請事項になります。
ここで「判断が必要になる場面」とは、たとえば次のように、ネット販売の運営が営業所外での取引とセットになりやすいケースです。
- ネットで集客し、実際の買取は依頼者宅へ出向く(出張買取)
- ネットで売った商品を、購入者と待ち合わせて手渡しする
- 催事・イベント出店やポップアップ(仮設店舗)でも売買する
- 営業所外で古物を受け取る形の運用が混ざる(受領場所・手渡し場所が営業所外になる等)
このような場合、申請書の「行商をする/しない」の選択と、実際の動きが一致しないと、申請後に補正(追加説明や差し替え)や、許可後に変更届が必要になることがあります。
静岡県警の案内でも、変更事項として「行商を『する』『しない』の別」や「インターネット利用取引の有無」が並んで整理されています。
そのため、申請前に所轄警察署へ確認すると良い、というのが結論です。
確認の際は、次の3点を短く整理して伝えると判断がしやすくなります。
- 仕入れ(買取)はどこで行うか(営業所/相手方住所/その他)
- 売却はどこで行うか(発送のみ/手渡し/催事出店の有無)
- 対面の受け渡し・受領が営業所外で発生する予定があるか
出張買取の注意点
出張買取は「行商」に当たりやすい
相手方の住所に赴いて取引する行為は、行商の例として示されています。
したがって、出張買取を予定する場合は、申請内容もそれに合わせて設計する必要があります。
出張買取における受取り場所の制限
行商を「する」場合でも、一般の方から古物を「受け取る(買い取る)」場所には制限があります。
原則として
- 自身の営業所
- 相手方の住所または居所
でなければならない旨が示されています(仮設店舗営業の届出がある場合を除く)。
そのため、「駐車場で受け取る」「カフェで受け取る」「倉庫前で受け取る」などは、運用上リスクになりやすいです。
出張買取は、訪問先(相手方住所等)での受取り・本人確認・帳簿記載までを一連で設計してください。
行商時の携帯・提示(うっかり違反を防ぐ)
古物営業法では、行商をする場合に許可証の携帯、従業員に行商させる場合の行商従業者証の携帯、求められたときの提示が定められています。
行商を行う場合の許可申請書の書き方
申請書で整理する順番
申請書の記載は、次の順に「実態→書面」の順で合わせると補正が増えにくくなります。
- 営業方法を確定する(店頭のみ/ネット販売あり/出張買取あり/催事出店あり/古物市場取引あり等)
- 申請書の「行商をする/しない」「インターネット利用取引の有無」を営業実態に一致させる
- 出張買取をするなら、受取り場所の制限(営業所 or 相手方住所等)に沿う運用手順にする
「行商あり」を選ぶ典型例
- 出張買取を行う(相手方住所へ訪問して受取り)
- 催事場で買取・販売を行う(展示即売会など)
- 古物市場での取引を行う
記載ミスを減らすための一言メモ(申請書に沿う形)
- 行商の予定があるなら「行商する」
- ネット販売をするなら「インターネット利用取引あり」も整理(表示・変更届出も含めて運用設計)
- 出張買取は「どこで受け取るか」を先に決め、営業の制限に沿う(営業所 or 相手方住所等)
まとめ
古物商許可の「行商あり・なし」は、出張買取・催事出店・古物市場取引など、営業所以外で取引するかどうかを軸に整理します。ネット販売は「行商」と別に「インターネット利用取引の有無」を整理する必要があり、ウェブ表示や変更届出も含めて運用設計が重要です。
アクシスサポート行政書士事務所では、営業形態(ネット販売・出張買取・店舗運営)に合わせて、申請書の設計から運用ルール(受取り場所、携帯・提示、表示)まで一体で整理します。静岡市・藤枝市・焼津市周辺で古物商許可の取得を検討している方は、具体的な営業計画をもとに相談してください。


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