公正証書遺言の作り方|費用・必要書類・流れ

「きちんと残したい」「もめごとを避けたい」という方には公正証書遺言が有力です。
公正証書遺言とは、公証人(法律の専門職)が内容を確認し、公証役場で作成・保管の手当てが整う遺言のことです。ここでは、費用の内訳・必要書類・作成の流れを、初めての方にもわかる順番で整理します。


公正証書遺言を選ぶ理由

信頼性と手続負担の少なさが特長

公正証書遺言は方式不備で無効になりにくいことが最大の利点です。
また、家庭裁判所の検認が不要なので、相続開始後の手続きがスムーズです。
自筆証書遺言のように紛失・発見の遅れが起きにくく、正本・謄本(読み:しょうほん・とうほん=原本に代わる効力をもつ控え)で複数保管できる安心感もあります。


公正証書遺言作成の基本フロー

公正証書遺言づくりは、「設計」→「確認」→「作成」→「保管」の4段階で考えると迷いません。

設計(誰に何を、なぜ)

まず最初に「財産」と「人」の整理をします。
ここでいう財産には、不動産・預貯金・証券・生命保険(受取人の指定も確認)・動産・負債が含まれます。
次に誰に何を承継させるかを文書で整理し、遺留分(法律上、一定の相続人に保障される最低限の取り分)への配慮も確認します。最後に、実務を進める遺言執行者(遺言の内容を実行する人)を指定しておくと、手続が速やかです。

事前確認(公証役場への相談)

公証役場に事前相談を行い、文案の方向性・必要書類・予約日程をすり合わせます。
相続人の氏名・住所・生年月日、財産の特定方法(不動産の表示、口座情報など)を明確な記載に直すことが大切です。

作成(読み上げ・署名押印)

当日は、公証人が遺言の全文を読み上げて内容を確認します。
本人が理解・同意したうえで署名押印します。
証人2名の立会いが必要で、身分確認の書類も提示します。
証人は誰でもなれるわけではなく下記に該当する場合は証人になれません。
未成年者
・推定相続人・受遺者(遺産をもらう立場になる人)
推定相続人、受遺者の配偶者直系血族(父母・祖父母・子・孫)

作成後は正本と謄本を受け取り、原本は公証役場で保管されます。

保管(正本・謄本の扱い)

正本は実務用、謄本はバックアップとして扱うのが基本です。
保管先はご自宅の耐火保管・信頼できる第三者・専門職事務所・貸金庫などを選び、所在を関係者が把握できる体制を整えます。


必要書類(代表例)

本人(遺言者)に関するもの

本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)印鑑証明または実印・認印戸籍謄本・住民票(内容によって要求書類が変わります)。

相続人・受遺者に関するもの

戸籍謄本(続柄の確認)、住民票(住所の確認)、氏名・生年月日・住所の正確な表記

財産に関するもの

不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書(所在地・地番・家屋番号の特定)、預貯金・有価証券の情報(金融機関名・支店・口座番号など)、保険証券(受取人指定の確認)等。
※地域や内容により追加書類が必要になる場合があります。個別案件は公証役場での指示が優先です。


費用の考え方

どこに費用がかかるのかを把握する

公正証書遺言の費用は大きく
①公証役場の手数料
②証人謝礼(手配を依頼する場合)
③各種証明書等の取得実費
④専門職報酬(原案作成・書類収集等を依頼する場合)
の四つで構成されます。
公証人手数料は財産額・遺言条項の数等によって変動します。
具体額は案件で異なるため、最終的には公証役場の見積りをご確認ください。

コストを抑えるコツ

財産の特定を正確に条項の重複を避けてシンプルに証明書の有効期限を意識して一括取得することで、再手配コストや修正回数を減らせます。遺言執行者を指定しておくと、相続開始後の外部コストも抑えやすくなります


自筆・公正・秘密の比較(理解用の早見表)

区分公正証書遺言自筆証書遺言(保管制度あり)秘密証書遺言
方式の確実性高い(公証人が関与)中(方式不備のリスクあり)中(方式は整うが内容確認なし)
検認不要必要(保管制度利用でも内容確認はされない)必要
紛失・改ざんリスク低い(正本・謄本)中(保管制度で低減)
費用あり(手数料等)低コスト低コスト
すぐ実務に使える度高い

※「検認」は、自筆や秘密証書遺言の形式チェックを家庭裁判所で行う手続です。
内容の当否を判断するものではありません。


遺言書づくりのポイント

誤解の余地を減らす書き方

財産の特定(不動産の表示・口座番号・銘柄名など)は一字一句を厳密に、人の表記は氏名・生年月日・住所を統一します。負債や連帯保証の有無も書き添えると、相続開始後の実務が円滑です。
付言事項(家族へのメッセージ)は法的拘束力はありませんが、背景や思いを伝えることで争いの予防効果が期待できます。

遺留分への配慮

遺留分侵害が生じると、相続開始後に遺留分侵害額請求(最低限の取り分の回復請求)が起こり得ます。
配分を大きく偏らせる場合は、代償金の手当て保険金の活用(受取人の指定)で実務上の調整を入れておくと安全です。


よくある疑問・質問

Q.証人は誰に頼めばよいですか?

推定相続人・受遺者・配偶者等は証人になれません。成人で利害関係のない人に依頼するのが原則です。
確保が難しい場合は、公証役場や専門職が職業証人(行政書士等)の手配を案内できます。

Q.入院中や高齢で外出が難しい場合は作成できますか?

出張による作成(公証人が病院・施設へ出向)も制度上可能です。
医師の診断書を求められることが多く、別途日当・交通費が必要になるのが一般的です。

一度作ったら変更できませんか?

いつでも撤回・変更できます。
新しい遺言で明確に前の内容を取り消す条項を入れるのが確実です。
家族構成や資産状況が変わったら見直すのが実務の定石です。


失敗を避ける小さなコツ

実務で詰まりやすい点を先に潰す

不動産の表示ミス(地番・家屋番号の誤り)、口座名義や支店の特定不足相続人の氏名の旧字体差異などが頻出です。登記事項証明書・固定資産評価証明・通帳・保険証券に書かれた正確な表記をそのまま写すとミスを防げます。遺言執行者の選任は、相続開始後のスピード感を左右します。


公正証書遺言作成チェックリスト

  • 財産目録(不動産・預貯金・証券・保険・負債)を最新化しましたか?
  • 配分の方針(誰に何を)と遺留分の影響を確認しましたか?
  • 遺言執行者証人2名の手配は済んでいますか?
  • 必要書類(本人・相続人・財産)は揃っていますか?
  • 保管先(正本・謄本の所在と連絡体制)は決めましたか?

    必要事項がそろっているか不安な場合は、専門家に確認のが確実です。

まとめ

公正証書遺言は、方式の確実性・検認不要・紛失の少なさという利点により、「遺す人」と「受け取る人」双方の負担を減らす実務的な選択肢です。設計→確認→作成→保管の流れで、財産の特定・人の記載・遺留分の配慮・執行者の指定を押さえれば、手続は驚くほどスムーズに進みます。
費用の最終見積りや必要書類は公証役場の指示が最優先となりますが、文案づくり・書類収集・証人手配・当日の同席まで一括でサポートいたします。
まずは現状のメモ(財産一覧・家族構成)だけでも結構です。
最短ルートで“もめない遺言”を形にしていきましょう。

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