「口約束のまま離婚しても大丈夫?」「何をどこまで紙に書けば安心?」という不安をよく伺います。
離婚協議書は離婚後の暮らしの約束を、だれが読んでも分かる形に整理するための書面です。
本コラムでは、自分たちで作る離婚協議書について解説します。
何を解決する書面か(後の「言った・言わない」を防ぐ)
離婚協議書は、話し合いで決めた内容を文字にして残す台本のようなものです。
主な項目は、
親権(未成年の子がいる場合に誰が育てるか)
養育費(金額・支払い日・方法・見直しの条件)
面会交流(会う頻度や連絡の仕方)
財産の分け方(預貯金・不動産・車など)
年金分割の方針(将来の厚生年金の取り扱い)
などがあります。
これらを整理しておくと、学校や金融機関、引っ越し等の場面で説明がスムーズになり、小さな行き違いを早めに消せるのが大きな効用です。
なお、協議書は役所に提出する書類ではありません。
離婚そのものは、市区町村へ離婚届を出して受理されることで成立します
(その際、成人の証人2名の署名や、未成年の子がいれば親権者の指定が必要です)。
全体の流れと準備物(数字・期日・方法を具体化)
まず二人で「決めるべき項目」を書き出し、たたき台を作ります。
次に、数字・期日・方法を具体的に入れ、あいまいな言い回しを避けます。
例えば「養育費は毎月25日までに銀行振込」「面会は第2・第4土曜の午後、前日19時までに連絡」のように、だれが読んでも同じ解釈になる表現を心がけます。さらに、転職や進学、引っ越しなど生活環境が変わった時の見直し手順(年1回話し合う、収入が一定割合変わったら再協議する等)を一文添えておくと、後日の調整がしやすくなります。清書の際は、作成日・当事者の住所氏名(自署)・ページ番号をそろえ、正本と控えをそれぞれ保管します。
静岡市・藤枝市・焼津市のどの地域でも、この基本は共通です。
準備する書類(最小限の目安)
・家計と子の状況が分かるメモ(収入・通学費・習い事など)
・財産の一覧(預金残高の写し、不動産の登記事項証明など必要なもの)
・本人確認書類の写し(保管・照合用)

離婚協議書作成の事例(焼津市Aさんの場合)
焼津市在住のAさん夫婦には小学生の子が1人。
夫婦で話し合い、
(1)養育費は毎月25日、普通預金へ振込
(2)面会交流は第2・第4土曜の午後、前日19時までに連絡
(3)財産は預金を等分、不動産は持分を調整
という方針を紙に書き出しました。
次の面談で文案を整え、見直し条項として「進学や転居など大きな変化があれば再協議」と追記。清書まで約1週間、検討から完成までおおむね1~3週間程度でまとまりました(内容や時期により前後します)。
費用は文案作成の支援料と各種証明書の取得実費で、数万円~十数万円前後に収まることが多い印象です(地域・内容で異なり断定不可)。
つまずきやすい点は、数字がぼんやりしていること。「必要に応じて」「できるだけ」などの表現は幅が広く、解釈が割れやすいもの。金額・期日・方法を具体化するだけで、将来の相談コストをぐっと下げられます。

よく誤解されるポイント
「協議書を役所に出さないと無効になる」と誤解されがちですが、協議書は夫婦で保管する私的な合意書で、提出は不要です。
離婚はあくまで離婚届の受理で成立し、協議書はその後の生活ルールを明確にするための書面という位置づけです。
提出の必要がない分、だれが読んでも同じ意味になる表現に整えることがいっそう大切になります。
まとめ
今日できる小さな一歩は、決める項目のチェックリストを作ること。親権・養育費・面会交流・財産の分け方・年金分割の方針をメモにして、数字と期日を具体化してみましょう。離婚届の提出先や受付時間は、静岡市・藤枝市・焼津市それぞれの案内で最終確認を。個別事情で結論は変わりますから、文案のことば選びや抜け漏れが不安な場合は、専門家に相談すると第三者の目で表現の粒度を整えられるのがメリットです。なお、将来支払いの強制が必要になりそうな場合は、より強い法的手当が期待できる方法(公正証書)も選択肢になります。こちらは別コラムで詳しく扱います。
参考にしたページ
静岡市「協議離婚の届(離婚届)」/https://www.city.shizuoka.lg.jp/s8436/s013632.html/届出の基本(証人2名・親権者の指定・氏の扱い)。
裁判所「養育費算定表」/https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file5/youiku-1.pdf/養育費の話し合い時に用いる目安資料。
日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割」/https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/kyotsu/rikon/20140421-02.html/年金分割の概要と必要書類・期限(原則2年)。


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