催告系の文書は「強い表現で書けば効きますか?」とよく聞かれますが、実際には事実→根拠→相手に求める行為の明記→期限→次の手段の順で淡々と書くのが最適です。
ここでいう「淡々」とは、感情的な表現は避け、読み手が行動に移しやすい具体的な文章表現に徹することです。
本コラムでは
①未払い(売掛・報酬)
②家賃滞納
③契約違反(納期遅延・禁止行為等)
の3ケースを取り上げて解説します。
最初に押さえる共通ルール
最初にどの案件でも共通する“型”を整えます。
ここでの“型”とは、相手が何を、いつまでにすればよいかが一目でわかる文書を作るための設計図です。
共通の書き順(要点の確認に役立つ最小限の箇条書き)
- ここでの結論は、事実→根拠→要求→期限→不履行時対応の順で書くことです。
- 事実:日時・金額・品目・やり取りの経緯(証拠で裏付け)。
- 根拠:契約条項・見積/注文/納品・法律の条文名は最小限。
- 要求:行為と金額・方法を特定(例:○日までに○円を当社口座へ)。
- 期限:日付で明記(「一週間以内」ではなく**○年○月○日**)。
- 次の手段:支払督促・解除・公正証書化・損害賠償などを控えめに具体化。
ケース1:未払い(売掛・報酬)の文面
未払いでは、請求の根拠と検収の事実を短くつなぎ、金額と支払い期限を明示します。
文面の骨格(例示)
- 事実:「貴社から○月○日に発注、○月○日に納品・検収済み(納品書No.××)。請求額は税込○円。」
- 根拠:「契約第○条(支払期日○日末)。」
- 要求:「○年○月○日までに○円を下記口座へ振込。」
- 期限後:「未入金の場合、内容証明で最終催告のうえ、支払督促または公正証書化等を検討。」
支払督促とは:裁判所書記官が書面審査で支払命令を出す手続です(相手の異議で通常訴訟へ移行することがあります)。
公正証書化とは:金銭債務の合意を公証人の文書にして、強制執行認諾文言を付すことです。
ケース2:家賃滞納の文面
家賃は契約条項と支払履歴が核心です。是正期限と今後の明渡し条件まで示すと軸が通ります。
契約解除とは:相手の債務不履行を理由に契約関係を終了させる意思表示です(解除要件・手順は契約書に従います)。
文面の骨格(例示)
- 事実:「賃貸借契約(令和○年○月○日締結)に基づく家賃○円が**○月分〜○月分**滞納。」
- 根拠:「契約第○条(賃料支払日○日、滞納○か月で解除可能)。」
- 要求:「○年○月○日までに滞納分○円と遅延損害金の支払い。」
- 期限後:「支払いがない場合、催告のうえ解除・明渡し請求を検討。鍵の返還・原状回復の方法も併記。」
原状回復とは:明渡し時に借主の使用で発生した損耗を除き、借りた時点に近い状態へ戻す考え方です。
ケース3:契約違反(納期遅延・禁止行為)の文面
違反では、求める是正行為を一つに絞るのがコツです。契約不適合や再実施の条件を具体化します。
契約不適合とは:引き渡された目的物・成果物が契約どおりの品質・数量に適合しない状態を指します。
文面の骨格(例示)
- 事実:「○月○日納期の成果物Aが未了/仕様△△に適合せず。」
- 根拠:「契約第○条(仕様遵守・再実施)、第○条(遅延時の違約金)。」
- 要求:「○年○月○日までに是正案の提示→承認→再実施の工程表提出。」
- 期限後:「是正が無い場合は解除・損害賠償・著作権/成果物の帰属整理へ進む可能性。」
違約金とは:契約違反時にあらかじめ定める損害の目安で、請求の手続きを簡便にする仕組みです。
送達手段の比較で“止めない”設計に
「何で送るか」で立証のしやすさが変わります。結論は、“届いた日”を重視なら配達証明、“何を送ったか”を重視なら内容証明、両方なら併用です。
送達手段の理解補助(比較表)
| 項目 | 普通郵便 | 書留 | 配達証明 | 内容証明 |
|---|---|---|---|---|
| 到達日の証明 | なし | 一部可 | 可 | 併用で可 |
| 送った内容の証明 | なし | なし | なし | 可(文面・差出日) |
| 心理的効果 | 低 | 中 | 中 | 高 |
| 向く場面 | 軽い連絡 | 重要連絡 | 期限管理 | 最終催告・姿勢表明 |
NG表現を避け、証拠で固める
名誉を傷つける断定的表現や、脅迫と誤解され得る文言は逆効果です。
必要なのは検証可能な事実と控えめな法的方針です。
スクリーンショットや通話記録は撮影日時・URL・相手表示が判別できる形で保存します。
証拠の連番管理(例:請求-01、入金-02)は、後工程(示談・調停・訴訟)でも効きます。
よくある“つまずき”を先回りで回避
ここまでをまとめると、相手が読む順番どおりに“行動手順”を置くことが成功の鍵といえます。
- 宛先の正確性:登記上の本店や契約書記載の住所に送ると到達立証が容易になります。
- 金額の整合:請求・入金・相殺の履歴をわかりやすくするよう表で1ページまとめてに可視化。
- 期限は日付で:○年○月○日表記を徹底。
- 次の手段は控えめに具体:支払督促/解除/公正証書化など名称で示す。
ケース別“1枚サマリー”の作り方
本文を読み返さなくても意図が伝わるよう、冒頭に1枚の要約(サマリー)を置くと反応が上がります。
サマリーには請求・根拠条項・期限・振込先のみ。詳細は本文に続けます。
これにより相手は最初の10秒で何をすべきかがわかります。
まとめ
強い言葉より、意思が確実に伝わる文書設計が大事です。
文面は事実→根拠→要求→期限→次の手段の順に、具体的で検証が可能なカタチで書くのが効果的です。
送達は配達証明・内容証明を目的別に使い分け、証拠の連番管理で後工程に耐える体制を整えます。
当事務所では、下書きの設計→証拠の束ね方→最適な送達方法→到達後のフォローまでをワンストップで伴走します。
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