経審(経営事項審査)のW評点(社会性等)をやさしく解説【2025年版】

公共工事の入札に向けて「経審(経営事項審査)」で良い点を取りたい──そんな建設業者さまから、毎年よくいただくご相談が「W評点(社会性等)」です。
本コラムでは、むずかしい数式や制度の変更点を“実務の視点”でやさしく整理します。
はじめてのご担当者さまに、今日からできる対策もまとめました。

経審とW評点の関係

経審の総合点(P点)は、X(規模)・Y(経営状況)・Z(技術力)・W(社会性等)を組み合わせて算出されます。
W評点は会社の社会的な取り組みを評価するパートで、労務・法令遵守・防災協定・ISO 等が対象です。

  • W(社会性等):労働福祉・営業継続・防災協定・法令遵守・経理・研究開発・建設機械保有・ISO/エコアクション21・担い手(若年人材)・知識/技能向上(CCUS等)
  • P点の構成:X1 0.25 / X2 0.15 / Y 0.20 / Z 0.25 / W 0.15

W評点の換算:各W項目の素点合計 × 係数(1900/200)

※正確な計算は申請時点の最新基準に従います。本文の数式は概念理解のために示しています。

Wの評価項目(W1〜W10)をざっくり理解しましょう

Wは、実務で手を打てる“改善ネタ”の宝庫です。細かな配点表は都度の改正に左右されますが、何を見られているかを押さえるだけでも対策は立てやすくなります。

  • W1:労働福祉の状況
    社会保険の加入(雇用・健康・厚生年金)、建退共、企業年金・法定外労災など。
  • W2:建設業の営業継続の状況
    許可取得からの営業年数等。休止期間の扱いに注意。
  • W3:防災協定の締結
    自治体や公共機関との防災協定の有無。
  • W4:法令遵守の状況
    指示・営業停止等の有無(違反があると減点)。
  • W5:建設業の経理の状況
    会計監査人・会計参与の設置、登録経理試験合格者数など。
  • W6:研究開発の状況
    研究開発費の規模等(監査受審会社が中心)。
  • W7:建設機械の保有状況
    代表的機種の保有・リース台数(定期検査・稼働確認がポイント)。
  • W8:国際規格の認証/登録の状況
    ISO9001/14001、エコアクション21などの取得状況。
  • W9:担い手(若年技術者・技能者)育成/確保
    若手の採用・育成の取組み等。
  • W10:知識・技術・技能向上の取組み
    CCUS(建設キャリアアップシステム)等の活用、社内教育、ワーク・ライフ・バランス施策など。

2025年の注目トピック

  • P点に直結する“財務サイド”の改正
    2025年(令和7年)以降、一定の条件を満たす資本性借入金は自己資本として扱える取扱いが始まりました。Wそのものではありませんが、X(自己資本額)やY(財務指標)を押し上げ、P点を底上げできます。
  • W周辺の近年改正
    • W8エコアクション21が加点対象に(ISO14001と排他評価)。
    • W7で災害対応力の観点から加点対象機械が拡充
    • W10CCUSの活用(就業履歴の蓄積体制)やワーク・ライフ・バランスの取組が評価対象として追加。

実務のコツ:Wは“書けること”を増やすための事前整備が勝負。年度の途中から一気に準備しても、審査基準日までに実績が揃わないと加点になりません。


今日から始めるW対策チェックリスト

  •  雇用・健康・厚生年金の適用/加入状況の確認(適用除外の整理含む)
  •  建退共(建設業退職金共済)の加入・掛金状況の確認
  •  法定外労災補償(上乗せ労災等)の加入有無・証書管理
  •  防災協定の締結可否の情報収集(自治体・建設業協会ルート)
  •  会計監査人/会計参与の設置可否、登録経理試験合格者の育成計画
  •  研究開発費の計上と監査対応の検討(該当企業向け)
  •  建設機械の保有/長期リース台数の把握、性能検査・特定自主検査記録の整備
  •  ISO9001/14001またはエコアクション21の取得計画(どちらか選択)
  •  若年技術者・技能者の採用・育成(資格支援・教育制度・定着施策)
  •  CCUS(建設キャリアアップシステム)の就業履歴蓄積体制(現場・契約登録、入退場記録、API連携等)

申請までの流れ

  1. ヒアリング(無料):現在の体制・実績をお伺いし、Wと財務(X/Y)双方の改善余地を診断。
  2. 対策プラン:次回審査基準日までに実績化できる加点策を優先順位づけ。
  3. 証拠資料の整備:協定書、検査記録、認証証明、社内規程、CCUS運用記録などを見える化
  4. 申請書類作成・提出サポート:ミスや取りこぼしがないようチェックリスト運用で伴走。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 社会保険は適用除外でも減点されますか?
A. 適用除外のケースはマイナス評価にならない取り扱いがあります(雇用形態や人数など要件を確認)。
ただし、書類で適用除外を説明できる状態にしておくことが大切です。

Q. 防災協定はどこから始めれば?
A. 本社/営業所の所在自治体からの情報収集が出発点。地域の建設業協会のルートも有効です。

Q. ISOとエコアクション21、どちらを選ぶべき?
A. 体制やコストに応じて選択します。
両方同時に加点はされませんので、事業規模や運用のしやすさで判断しましょう。

Q. CCUSの「就業履歴の蓄積」って何が必要?
A. 現場・契約情報を登録し、直接入力に頼らない入退場記録(API連携システム等)を整えることがポイントです。

まとめ

Wは、現場の安全や人材育成、地域防災、環境配慮など会社の価値そのものを映し出す指標です。早めの準備と記録の整備で、次の審査基準日に向けて、取りこぼしゼロを目指しましょう。制度や配点は随時見直されますので、最新情報の確認と、貴社の実情に合わせたプランニングが肝心です。

本コラムは一般的な解説です。最新の運用や個別要件は、所管行政庁・登録経営状況分析機関の公表資料をご確認ください。個別相談もお気軽にどうぞ。

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