建設業新規許可と業種追加の判断軸|主力業種から広げる最短ルート

「最初から幅広く取りにいくべき? それとも主力一本で始めるべき?」――
建設業許可のご相談で必ず出てくるテーマです。
結論は、まず主力業種で建設業許可を確実に取得し、実績を積みながら業種追加で面を広げるのが最短ルートです。
今回は、売上機会・人材・証拠・資金の4つの軸で、迷わず決められる判断基準をまとめます。

判断軸は「売上×人材×証拠×資金」

建設業許可の新規取得か業種追加かは、次の4つのポイントを基に自社の現状を客観的に分析することから考えます。

現状による分析

観点新規で主力業種の建設業許可を取る状況既存の建設業許可に業種追加する状況
売上機会主力の受注が具体/入札や元請指定を早く通したい隣接工種の引き合いが継続/下請からの要請が多い
人材(専任技術者)主力業種に合う資格・経験が揃う追加業種でも裏づけ人材が確保(採用・配置転換を含む)
証拠(実務立証)契約書・注文書・写真・台帳が主力業種で充実追加業種でも契約書・注文書・写真・台帳がそろっている(経験証明の準備可)
資金・体制まずは事業を安定させ黒字化を優先したい追加業種の管理負担に耐える人員・資金が確保できている

ここでの経験証明は、どの工事をいつ・どの立場で・何を担当したかを第三者が辿れる資料の束を指します。

主力業種から広げる“3ステップ”

遠回りしないコツは、主力業種の深掘り→境界工種の橋渡し→業種追加の順です。

ステップ1:主力業種により事業の土台を固める

最初に作るのは「人×工事」の年表です。
誰がどの工事で何を担当したかを月次で並べ、専任技術者の裏づけ(資格ルート/経験ルート)を主力業種に結びつけます。ここで常勤性(雇用契約・社会保険・勤怠)の証拠もまとめます。

ステップ2:境界工種を見極める

主力業種の境界業種で“許可が取れたら強い”工種を選択します。
たとえばとび・土工が主力なら解体・舗装電気が主力なら管・電気通信といった境界工種が候補です。
境界工種とは、現場で同じ元請・同じ工程になりやすく、追加しても管理負担が増加しにくい業種のことです。

ステップ3:追加の裏づけを先に作る

業種追加の前に*証拠の束”を先行整備すると速いです。
経験年数の線表工事写真の人物特定(社名入りヘルメット・日報)、請負関係が分かる書類をそろえます。
資格ルートが近いなら、試験申込→受験→合格見込みのスケジュールを事業計画に組み込みます。

技術ルートの早決め

業種追加は資格ルート経験ルートの二択で見ます。資格ルートは該当資格(例:施工管理技士等)で直線的、経験ルート対象業種に直接関与した実務年数で裏づけます。

技術ルートの早見(イメージ)

追加候補資格ルートが近い例経験ルートの要点
管 → 水道施設関連資格の区分が近い元請/下請の別と担当範囲を明記
電気 → 電気通信通信系資格保有者が在籍試験・測定・調整の記録を整える
とび・土工 → 解体解体の専用資格で一直線分別・処分フローの資料で補強

実務経験とは、対象業種の工事に継続的に直接関与した期間のことで、施工管理・品質・安全・積算などの役割も含みます。

「一般」か「特定」かは別軸で見る

将来、特定建設業を狙うかどうかは別軸です。特定建設業とは、元請として大規模な下請管理を前提に、技術・財務・体制がより厚く求められる許可区分のことです。特定を見据えるなら、主力での実績×内部体制の厚みを先に育て、一般建設業で業種追加しながら階段を上がるのが現実的です。

申請順序と「建設業許可」表記の整え方

ここまでを一文でまとめると、“主力で建設業許可を確実に通す→境界工種で業種追加→証拠を先に束ねる”が王道です。実務では、変更届・決算変更届・業種追加申請のタイミング管理で取りこぼしを防ぎます。
決算変更届とは、毎期の財務・工事経歴などを報告する手続で、直近決算と工事実績の整合が肝です。社内文書・ホームページ・請書などでも「許可」ではなく必ず「建設業許可」と表記し、許可番号・業種・許可区分(一般/特定)を併記しておくと信頼度が上がります。

つまずきを避ける“整合三原則”

重要点をまとめると、審査は“実体×証拠×整合”で見られるということです。最小限だけ挙げます。

  • 名寄せの整合人名・会社名・現場名を資料間で同一表記にそろえる。
  • 日付の整合契約→着工→出来高→検収→請求が一本線で追える。
  • 役割の整合:経験証明の担当内容が写真・日報・台帳と噛み合う。
    ここを外さなければ、建設業許可の新規も業種追加も滑らかに通ります。

収益視点で最終判断を下す

業種追加=売上増ではなく、粗利が積み上がるかで判断します。追加工種の単価・歩掛・外注比率を試算し、共通仮設・現場管理費の上乗せまで含めて実入りを見るのがコツです。
粗利とは、売上−直接原価(外注・材料・現場経費)で、管理費や人件費の前の利益を指します。
ここがプラスで回るなら、いま業種追加を検討する価値が高いです。

まとめ

建設業許可の複数業種による事業発展の最短ルートは、主力業種で建設業許可を確実に取り、境界工種から無理なく業種追加で広げることです。
判断軸はつねに、売上機会(具体性)×人材(専任技術者)×証拠(年表・写真・契約)×資金(持続性)の4点。
ここがそろえば、選択は自然に決まります。
当事務所では、人・工事・証拠の年表づくり→境界工種の選定→技術ルート(資格/経験)の確定→建設業許可の申請書一式まで伴走します。「この人材でどこまでいける?」「どの業種から足すのが早い?」の段階から歓迎です。
お気軽にご相談ください。

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