河川占用許可とは
河川占用許可とは、川や用水路などの「河川区域」に橋や管、ケーブル、看板などの物を継続的に設置・通過させるための許可です。
要するに「公共の川のスペースを、一定の面積と期間、あなたの目的で使ってよいか」を管理者に確かめる手続です。実際の現場では、分譲地の雨水放流、敷地進入のための小橋、ライフラインの横断管などで登場します。
まずは「占用の定義」を押さえることが、工程や費用の読み違いを防ぐ最初の一歩です。
用語ミニ解説
これらの言葉を知っておくと、窓口との会話や見積の読み解きがぐっと楽になります。
- 河川管理者:河川を所管する主体です。国・都道府県・政令市などが該当します。
- 河川区域:堤防内の河道や附帯地を含む、河川法上の管理範囲です。
- 占用:一定期間、物を置く・通す行為です(例:横断管、橋りょう)。
- 一時使用:工事中だけの仮設利用です。撤去と原状回復が前提です。
- 工作物:橋、管路、ケーブル、看板、護岸補強などの設置物の総称です。
どんなときに必要になる?
代表的な河川占用のケース
- 排水放流:分譲地の雨水を公的水路へ放流するため、放流管・放流桝を設けるケースです。
- 敷地進入:里道や水路を跨ぐ小橋、暗渠(ボックスカルバート)を設けるケースです。
- ライフライン:電気・通信・上水・ガスの横断管や縦断管を通すケースです。
- 仮設利用:造成・建築工事で必要な仮設通路、足場、土留を置くケースです。
- 広告・案内:護岸付近の看板や案内柱の設置を検討するケースです。
以上から分かるとおり、河川占用は「排水・通行・供給・表示」の4分野で頻出しますので、早い段階で可能性チェックを入れるのがポイントです。
占用と一時使用の見極め
- 継続性:恒久設置なら占用、短期撤去なら一時使用の可能性が高いです。
- 機能:社会的機能(通行・排水・供給)を担うほど占用で整理されやすいです。
- 構造:基礎・固定が恒久仕様か仮設仕様かで判断が分かれます。
- 運用差:自治体で線引きが異なるため事前相談が有効です。
結論として、迷う案件は「恒久性・機能・構造」を資料で説明し、撤去前提の有無を明示して判断を早めると混乱を防げます。
占用料の考え方
占用料は原則面積×区分単価×期間で算定します。単価は自治体の条例・規則で細かく定められ、公益性(上水道など)、敷設方法(横断・縦断・露出・埋設)、占用物の種別で変動します。
概略図と寸法があれば、早期でも“だいたいの目安”は算出できます。
減免・免除の視点
- 公益性が高い施設:上水道や消防施設、通学路などは減免の対象になり得ます。
- 共同化・更新:既設管の共同溝化や更新で優遇される事例があります。
- 民間私設管:原則は通常料で、面積管理がコスト最適化のカギです。
以上をまとめると、民間開発は「通常料ベース」で設計・更新費まで含めたトータル費用の見立てが重要です。
- 幅員を最小化:必要最小幅で計画し、面積を抑えます。
- ルート最適化:短距離・適正被りで施工と維持の負担を減らします。
占用期間と更新について
占用期間は数年単位(例:3〜5年)が一般的で、更新制が前提です。
更新時には占用料の再計算、現況確認、構造安全性のチェックが入ります。開発後に管理主体が事業者→管理組合・地権者へ移る場合は、名義変更・承継書を整えておくと後トラブルを避けられます。結局のところ、期間と名義は最初から台帳化しておくと安心です。
スケジュール設計
- 流れ:事前相談→現地立会→図面確定→申請→審査→許可→着手が基本です。
- 連携:造成設計・建築確認と絡むため、占用の成立性確認を先行させます。
- 補正余白:質疑・補正は通常運転です。工程表に“余白”を見込みます。
まとめると、「占用の目線合わせ→他法令協議→本体許認可」の順で固めると手戻りが少なくなります。
工作物の要件
占用の可否は「川の安全・機能・景観を損ねないか」で決まります。図面と根拠をセットで示しましょう。
水理・安全・維持管理の三本柱
- 流水阻害の回避:断面を狭めない、堆積・詰まり対策を講じることが重要です。
- 安全性・耐久性:流木衝突、洪水時の揺動、腐食・浮き上がりを想定した設計が必要です。
- 維持管理性:点検口・桝の配置、巡視時のクリアランス、台帳整備を前提にします。
- 位置・深さ:横断管は所定の被りを確保し、基礎は洗掘への備えを入れます。
- 景観・露出抑制:占用幅の最小化と景観調和で周辺への配慮を示します。
要は「安全に長持ちし、点検しやすい」ことを他者に伝わる設計で計画するのが許可の近道です。
用語ミニ解説(技術)
- 被り:埋設物上端から地表(または河床)までの土の厚みです。
- 洗掘:流れで河床が削られる現象で、基礎の安定に直結します。
- カルバート:箱形の暗渠で、人・車の通行と水の流下を両立させる構造です。(下図がボックス型カルバート)
難しく見えても、配置図・縦横断図・詳細図の三点セットで説明すると理解が早まります。

申請の流れと必要書類(補正に強い骨格づくり)
基本は事前協議→申請→許可→工事→完了届→台帳管理→更新です。設計段階から書類の“型”を作ると、補正に強くなります。
よく求められる図書
- 位置図・平面図・縦横断図:座標・基準点・縮尺・既設物を明記します。
- 構造図・配筋図・詳細図:被り、基礎形式、固定方法、継手、耐久配慮を示します。
- 占用面積計算書・占用料算定表:式・寸法・根拠の再現性を確保します。
- 水理検討資料:必要に応じて流量計算や流水断面の検討を添えます。
- 工事・交通安全計画:占用工事中の安全対策と占用標識の計画を示します。
- 他法令調整:道路占用、下水道、農業用水、景観、文化財などの協議状況を整理します。
- 同意・承諾:隣接地権者や関係占用者の同意が必要な場合は書面で揃えます。
このリストは「なぜ支障がないのか」を第三者が読み解けるようにする“翻訳資料”と考えると準備がスムーズです。
申請後の動き
- 質疑・補正:ほぼ通常発生します。根拠図と計算をひとまとめにして即応します。
- 標識・台帳:許可後は占用標識の設置、占用台帳の整備、更新時期の管理を行います。
申請はゴールではなくスタートなので、完了届と更新管理までを初期計画に組み込むのが安全です。
河川占用許可取得の際のチェックポイント
許可を円滑に取得するためには「境界・管理者・設計・費用・承継」の5点を早めに確定させることが大切です。
5点セットの中身
- 境界と河川区域:地積測量図や境界確定図で河道境界を把握します。
- 管理者の特定:県・市・土地改良区・水利組合などの窓口を初動で確定します。
- 設計前提:被り、基礎、点検性、景観を先に方針決定します。
- 費用計画:占用料・設計費・施工費・更新費をLCCで見込みます。
- 承継台帳:許可書、図面、更新時期、費用負担を台帳化して引継ぎ可能にします。
この5点を“先に決める”ことで、許可〜施工〜引渡しまでのブレを最小化できます。
- Q. 占用料はいくら?
A. 面積×単価×期間で算定します。単価は自治体と用途で異なるため、概略図があれば早期に目安を作れます。
結論は「まず寸法と占用面積を確定」が近道です。 - Q. 期間はどのくらい?
A. 多くは3〜5年の更新制です。恒久物は維持計画とセットで更新前提にしましょう。要は「続ける設計なら、続ける手続を」です。 - Q. 他手続との順番は?
A. 占用の成立性確認→他法協議→本体許認可の順が安全です。先に占用を固めると全体の手戻りが減ります。 - Q. 無断占用が見つかったら?
A. 現況・許可書・台帳の棚卸しを先に行い、撤去・申請・代替案の是正計画を作ります。早期の「事実と選択肢の共有」がトラブル縮小の近道です。
まとめ
河川占用許可は、占用料(いくら)・占用期間(いつまで)・工作物の要件(どう造る)の3点を押さえるだけで、判断と段取りがぐっと楽になります。排水・進入・ライフライン・仮設など幅広い場面で関係するため、
①管理者特定
②占用か一時かの見極め
③面積と更新費の早期試算
④図面と根拠のセット準備
の順で進めると失敗が少ないです。
アクシスサポート行政書士事務所でも、河川占用許可についての申請のお手伝いをさせていただきます。
まずは「この計画で通りそうか」「費用感・スケジュールはどれくらいか」を一緒に整理いたします。
どうぞお気軽にご相談ください。
(本コラムは一般向けの解説です。具体の単価・様式・運用は管理者や自治体で異なります。個別案件は事前協議を前提に、最適な進め方をご提案します。)


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