審査で止めない「定款の目的」テンプレ20選|書き方・NG例・追加手順まで

会社をつくるとき、最初につまずきやすいのが「定款の目的」です。あいまいな書き方だと、登記の前後で修正が必要になったり、許認可の申請で止まったりします。逆に、要点を押さえれば審査はスムーズで、将来の事業拡張にも強い定款になります。

このコラムは、はじめての方が読みながら目的文を形にできるよう、「良い書き方」「避けたい書き方」を具体例で示します。専門用語はできるだけ使わず、テンプレをベースに各社の実情へ落とし込むコツをお伝えします。

目次

審査を通しやすく、将来拡張にも強い目的文を作る

あなたの事業に合った「通りやすい目的文」とは、主要事業と関連事業を区別し、将来の拡張にも耐える骨組みが作れることがポイントです。

やること得られる結果
事業内容の棚卸し主要・関連・将来の3層に分類できる
目的の言い回しを整える審査で意図が伝わりやすく、許認可とも整合する
並び順を設計する会社の強みが一目で伝わる

「目的」の基本ルール

具体性・明確性・適法性の三原則

抽象語だけだと評価が難しく、逆に細かすぎると将来の足かせになります。
「何を」「誰に」「どの方法で」までが伝わる粒度を意識します。
適法性は当然として、勘違いされやすい語(例:プラットフォーム運営と仲介の違い)は補足語を添えて明確化します。

許認可との関係

許認可の申請時に、定款の目的に該当分野の語が無いと差し戻しになることがあります。
設立段階で、当面予定する許認可を洗い出し、目的に反映させます。

許認可の例目的に入れておきたい語の例
建設業建設工事の請負、施工管理
宅建業宅地建物取引業、賃貸・売買の仲介
古物商古物の売買、古物の仕入・販売・仲介

目的の並べ方(主要事業→関連事業→包括条項)

最初に主要事業、その次に関連事業、最後に包括条項という順が読みやすく、審査側にも意図が伝わります。包括条項は便利ですが、これだけでは不十分です。主要・関連の文をしっかり書いたうえで、補助として使いましょう。

目的テンプレ(業種別 文例と注意点)

IT・SaaS(受託開発/自社SaaS/広告・データ利活用)

例文:
クラウド型業務支援ソフトウェアの企画、開発、提供及び保守運用 データ分析及びそれに付随するコンサルティング業務

注意点:個人情報・データ取扱いが主になる場合は、その旨を明記すると誤解が生じにくくなります。

EC・小売(通販・古物の扱い・輸出入)

例文:
インターネットを利用した衣料品・雑貨等の小売業及び輸出入業 古物の仕入、売買及びその仲介に関する業務

注意点:古物の扱いがあるなら、古物に関する語を入れておくと後の申請が円滑です。

コンサルティング(業務範囲の明確化)

例文:
経営及び業務改善に関するコンサルティング業務

注意点:「コンサルティング」だけでは範囲が広すぎるため、対象や手段を1フレーズ加えると明確になります。

建設・不動産(建設業許可や宅建業との整合)

例文:
建設工事の請負、設計、施工管理及びそれらに付帯する一切の業務 宅地建物取引業

注意点:実際に許可を取る業種に合わせ、主要な工事区分や仲介・管理などの語を選びます。

飲食・宿泊(食品衛生・旅館業と目的の関係)

例文:
飲食店の経営及びフランチャイズチェーン店の運営 簡易宿所及び旅館業の経営

注意点:店舗運営のほか、ケータリングや弁当製造等を予定するなら併記します。

教育・スクール(学習支援・オンライン講座 等)

例文:
各種講座の企画・運営及びオンライン学習サービスの提供

注意点:資格講座など特定分野に特化する場合は、その名称を入れると意図が伝わります。

介護・福祉(報酬算定・指定申請を見据えた表現)

例文:
介護保険法に基づく居宅介護支援事業及び訪問介護事業

注意点:法令名称を入れると範囲が明確になり、指定申請時の説明が容易です。

NG・修正パターン集

意味が重複/不明確な表現の言い換え

悪い例問題点良い例
物品の販売及び小売同義反復インターネットを利用した衣料品等の小売業
システム関連業範囲が広すぎる業務支援ソフトウェアの企画・開発・提供及び保守運用
コンサルティング業内容が不明経営及び業務改善に関するコンサルティング業務

許認可に不利な書き方の例(範囲過大/趣旨不明)

「前各号に附帯関連する一切の事業」だけで構成された目的や、意図が読み取れない抽象語の羅列は避けます。
審査では、会社が何をするのか、どの範囲まで想定しているのかが重要です。
主要事業を明確にしたうえで関連事業を足す、という順序を守りましょう。

「前各号に附帯関連する一切の事業」はいつ使う?

包括条項は、主要・関連の目的を補うために使います。
例えば、新サービスの付随業務を柔軟に行うための保険として有効ですが、これ単独では目的が不明確になってしまいます。主要・関連が十分に書けていることが大前提です。

将来の拡張に備える書き方

プラットフォーム/サブスク/AI・データ活用の目的化

例文: オンラインプラットフォームの企画・運営及び利用者間取引の仲介 定額制サービスの企画・提供及びそれに付帯する決済・顧客管理業務 機械学習等を用いたデータ分析サービスの提供

ポイント:仲介・自社販売・開発受託のどれかを区別して書くと誤解がありません。

海外展開・輸出入(通関・貿易実務に配慮)

輸出入を行う場合は、「輸出入業」「通関手続の代行(許可が必要なものを除く)」など関連する語を置きます。
越境ECでの販売のみでも、物流・決済の手当が分かる程度の記載があると親切です。

目的追加の手順(決議→公告/通知→登記)と費用感

目的追加は、
①株主(または社員)の決議
②必要な公告や通知
③変更登記
の流れです。

定款の変更が伴うため、決議方法や書式を誤らないことが最重要です。費用や日数は会社の形態や管轄で変動します。

段階概要関与先の例
決議株主総会/社員総会で目的変更を決定会社内部
公告・通知必要に応じて株主等へ告知官報・ウェブ 等
登記変更登記を申請法務局・専門家

よくある質問(FAQ)

合同会社と株式会社で「目的」の考え方は違う?

A. 基本の考え方は同じです。いずれも明確で適法な目的が必要です。
違いが出るのは意思決定の方法や公開性で、表現そのものはほぼ共通で使えます。

目的はいくつまでOK?順番は審査に影響する?

A. 数の上限は実務上設けられていませんが、多すぎると「結局何の会社か」が伝わらなくなります。
主要→関連→包括条項の順で、読み手が理解しやすい並びにしましょう。

設立後すぐ許認可を取る予定だが、目的はどこまで書く?

A. まずは当面取得する許認可に必要な語が入っているかを確認します。
将来見込みだけの分野は関連事業として簡潔に添える程度にし、許認可に直結しない抽象語の追加は控えめにします。

まとめ

「定款の目的」は、具体性、適法性、事業の広がり——この3点のバランスがカギです。主要事業→関連事業→包括条項の順で並べれば、審査の分かりやすさと将来の拡張性を両立しやすくなります。許認可が絡む場合は、目的にその要素をきちんと含めると後工程がスムーズです。

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