誹謗中傷の削除請求を内容証明で行う手順

今回は、ネット上の誹謗中傷に困ったとき、内容証明郵便を使って削除を求めるまでの道筋を、判断に迷わない順で整理します。
ここでいう内容証明郵便は、日本郵便が「誰に・いつ・どんな文面を出したか」を公的に証明してくれる郵便のことです。相手に心理的な重みを与え、後の交渉や法的手続きの土台にもなります。

まず削除の狙いとあて先を決める

投稿が載っている場所に応じて、運営者(プラットフォーム)か投稿者本人のどちらに働きかけるかを先に整理します。運営者への申立ては、各社の規約と法令に沿って迅速に止める狙い、投稿者への請求は、謝罪や再発防止を含む個別合意を目標にします。

申立てルートの比較(要点)

ルートねらい典型の出し方強み/注意点
運営者への削除申立て掲載停止・非表示公式フォーム+内容証明の併用早いことが多い/各社の基準に左右
投稿者への削除請求削除・謝罪・再投稿防止内容証明で到達を証明効果が高いことも/身元不明だと届かない
検索結果の除外申立て検索露出の抑制事業者の申請窓口元記事は残るが被害拡大を抑制

ここでいう運営者はSNSや掲示板、まとめサイトなどの管理主体、検索結果の除外は検索事業者に対し個別URLの表示を外してもらう申立てです。

送る前の三つの下準備

まず最初に誹謗中傷を受けたことを客観的に証明できる証拠を固めます
「証拠を固める」とは、投稿のURL・タイムスタンプ・画面全体のスクリーンショットの保存、可能ならウェブ保存サービスやタイムスタンプツールで改ざん困難な記録を取ることです。
次に誹謗中傷を訴えることについての法的根拠の仮置きをします。名誉毀損は「具体的事実で社会的評価を下げる表現」、侮辱は「事実を示さず人格をおとしめる表現」、プライバシー侵害は「みだりに公表されるべきでない私生活情報の暴露」を指します。
最後に内容証明郵便の送付先の特定を検討します。
相手の住所が不明でも、運営者宛の内容証明や公式フォーム申立ては動かせます。

文面設計の基本構成

内容証明の文面は、誹謗中傷の事実→違法性の理由→要求→期限→次の対応の順で作成します。
違法性の理由とは、虚偽の事実で社会的評価を低下させている、私生活情報の不必要な暴露である、等の法的評価のことです。要求は「当該URLの削除・非表示」「今後の再投稿禁止」「期日までの書面回答」を明記し、該当の箇所が容易に確定できるようにします。

例示フォーマット(要旨のみ)

  1. 事実関係:掲載日、媒体名、URL、投稿抜粋
  2. 違法性の主張:名誉毀損/侮辱/プライバシー侵害のいずれかの根拠
  3. 要求事項:削除・謝罪・再発防止、検索キャッシュの更新依頼など
  4. 期限と連絡先:○年○月○日までに書面回答
  5. 付記:応じない場合は発信者情報開示※や仮処分を検討

    ※発信者情報開示は、プロバイダに対し投稿者のIPアドレス等の提供を求める法的手続のことです。

内容証明作成・発送・その後の手順

  1. 証拠固定と被害メモ作成(被害の影響・取引先への波及なども記録)
  2. 運営者のガイドラインに沿ってフォーム申立て(同時に内容証明を準備)
  3. 投稿者の住所が判明していれば内容証明を発送(到達主義=相手に届くことで効力が生じる考え方のため、住所確認は慎重に)
  4. 回答期限まで待ち、削除・非表示が実施されたか検証
  5. 応じない場合は、弁護士と連携して発信者情報開示や仮処分・損害賠償を検討

相手方からの反論に備える論点整理

相手から「事実であり公共の利害に関する内容だ」との反論が来ることがあります。
名誉毀損では、公共性・公益目的・真実性(または真実相当性)が認められると違法性が阻却されることがあります。そこで、当該投稿が私生活の暴露に偏っている、真実性の裏づけがない、表現が過度で必要性を欠く、といった観点で反駁の材料を用意します。

内容証明とフォーム申立ての併用ポイント

内容証明は到達と文面を証明できますが即時性は高くありません。公式フォームは処理が早い反面、相手方に対する牽制力は弱めです。併用すると、スピードと重みの双方を確保できます。到達日とフォーム申立て日を時系列で並べて管理し、返信期限の前日に督促メールを送るなど、運用の細部まで決めておくと抜けが減ります。

個人・法人別の書き分け

個人が被害者の場合は、生活・仕事への具体的影響を一文で添えると運営者の判断が早まります。法人の場合は、取引先への影響、ブランド毀損、採用への悪影響など、事業上の被害を書面化します。いずれも、感情的表現を避け、客観資料(売上推移、問い合わせ記録等)があれば添付します。

注意すべきリスク

内容証明は相手に強い印象を与える一方、関係悪化や二次拡散の引き金になることもあります。
送付前に「公開されても困らない」表現かを点検し、相手が海外にいる、匿名で住所不明といった場合は、まず運営者ルートを優先します。重大な被害(営業妨害や営業秘密の暴露、脅迫を含む書込み)のときは、警察相談や弁護士による法的措置を速やかに検討します。

まとめ

内容証明での削除請求は、証拠固定→評価→文面設計→運営者申立てと並走→到達確認→フォローという順番で進めると判断に迷いません。投稿が消せれば被害の拡大は止まり、合意が得られれば再発防止まで一気通貫で整います。
アクシス行政書士事務所では、証拠整理、文面作成、送付と進捗管理、弁護士・警察・IT事業者との連携設計まで状況に合わせて伴走します。まずはURLと掲載日時、スクリーンショットをご用意のうえ、ご相談ください。

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