農地法4条・5条の手続きは「許可」「届出」どっち?市街化区域/市街化調整区域での違いと実例

こちらのコラムでは、農地をお持ちの方向けに、農地転用や権利を動かす際に「自分の土地が市街化区域か市街化調整区域か」の区分に応じて届出(4・5条)と許可(4・5条)のどちらが必要になるのかまでを、順を追って解説します。都市計画のWeb地図での確認手順、典型事例(駐車場化・宅地化・太陽光等)の当てはめ方、よくある勘違いとその回避策も整理します。

このコラムでわかることは以下の3点です。

  1. 自分の土地の都市計画法上の区分(市街化区域市街化調整区域か)の確認方法
  2. その結果に応じて、農地法上は届出でよいのか?許可が必要なのか?
  3. 例外・注意点(3条の扱い、都市計画法など“別の許可”との関係)は何か?

STEP1:まず「自分の土地の区分」を確認する

A. 都市計画の区分とは?

都市計画法は、「まちの将来像を定め、土地利用とインフラ整備を進めることで、無秩序な開発を防ぎ、生活の質と安全を守る」ことを目的に、区域を二つに分けています。
市街化区域(すでに市街地・今後10年程度で優先的に市街化)と、市街化調整区域(市街化を抑制)です。
これを「線引き」と呼びます。

B. 区分はどこで確認できる?

都市計画の区分は以下の方法で確認できます。

  • 市区町村の「都市計画情報(Web地図)」:多くの自治体が、地番や住所から用途地域・市街化区域/調整区域を検索できるGIS(地図)を公開しています。静岡市では都市計画情報サービスとして「しずマップ」が利用できます。
  • 都市計画担当課の窓口:電話で「○○番地の都市計画の区分(市街化区域か調整区域か)を教えて下さい」と伝えれば、確認方法や証明の取り方(都市計画証明等)を案内してくれます。

STEP2:「区分」に応じて、農地法の手続を決める

1) 市街化区域だった方

  • 転用(農地→非農地)を伴うなら
    • 権利は動かさず自分で転用4条の「届出」
    • 売買や賃貸+転用5条の「届出」
      つまり、市街化区域の転用は「許可ではなく届出」が基本です。届出先は所在地の農業委員会で、受理までの事務は自治体ごとに運用が公開されています(例:受付→書面点検→受理通知)。

      ただし届出で済むのは農地法(4・5条)の話で、造成や建築には都市計画法の開発許可や、上下水道・道路・河川といった別法の協議が別途必要なことがありますので、注意が必要です。

2) 市街化調整区域だった方

  • 転用を伴うなら
    • 自分で転用 ⇒ 4条の「許可」
    • 売買・賃貸+転用 ⇒ 5条の「許可」
      市街化調整区域の農地については基本として「許可制」になります。
      農地の生産性や周辺の土地利用など審査が厳格です。

      また、市街化調整区域は、都市計画上も市街化を抑制するゾーンになりますので、農地法の許可見込みがあっても、都市計画法34条の事前協議や開発許可の見込みが前提となる場面がほとんどとなります。

3) 3条(“農地のまま”権利を動かす)に当たる方

  • 売買・贈与・賃貸など、農地として使い続ける前提の権利移動3条です。
  • 3条にあたる場合は市街化区域でも特例はなく「許可」が原則です。
    ただし、相続等の“許可不要の取得”には届出類型があるため、個別に確認が必要です。

具体例でイメージしてみましょう。

農地の転用、権利移動の具体例をあげてみました。

例1:市街化区域で農地を駐車場に変えたい

「所有地を砕石で舗装して月極に」──これは転用に当たります。
所有者が自分で用途を変えるので農地法4条の対象です。市街化区域なら「4条の届出」でOKです。
(ただし、排水・接道・騒音など別法の基準確認は必要)。

例2:市街化区域の農地を買って宅地にして家を建てたい

権利移動+転用ですから農地法5条の対象です。市街化区域なら「5条の届出」を農業委員会に行います。
並行して、造成や建築の可否は都市計画・インフラの協議で確認します。

例3:市街化調整区域の農地を太陽光にしたい

転用が伴います。所有者が自分で行うなら「4条の許可」、事業者に貸して事業者が転用するなら「5条の許可」です。
調整区域は総合判断で不許可リスクもあるため、農振(農用地区域)の有無や34条該当性を慎重にチェックしましょう。

例4:農地のまま、親から子に名義を変える

これは3条です。場所(市街化/調整)に関係なく「許可が原則」。相続などの許可不要取得に当たる場合は、農業委員会への届出が求められる類型もあります。


よくある「誤解」ポイント

Q. 市街化区域なら、なんでも届出でOK?
A. 転用(4・5条)に関しては届出で進みますが、都市計画法の開発許可や建築関連の手続は別です。
逆に言えば、農地法の届出が済んでも、造成や建築の許可が下りなければ工事は進められませんので、市街化区域だからといっても慎重な確認と準備が必要です。

Q. 市街化区域かどうかは、固定資産税の「地目」でわかりますか?
A. 地目は「農地かどうか」の目安にはなりますが、市街化/調整の区分は都市計画の区分ですのでわかりません。
必ず都市計画情報(Web地図)や窓口で確認してください。

Q. 届出は“形だけ”だから準備は軽くていい?
A. 形式審査が中心でも、場所・面積・権利関係・転用目的の説明は必要です。
自治体の案内には提出書類や受理までの流れが明記されています。


まとめ

こちらのコラムでは、農地法に係わる手続きについてのポイントを解説しました。

  1. 都市計画の区分(市街化区域/市街化調整区域)は、自治体の都市計画情報(ネット、窓口)で確認が可能。
  2. 転用の有無権利移動の有無で、4条/5条届出(市街化区域)か、許可(市街化調整区域ほか)かを確認する。
  3. 3条は特例がないので許可が必要であることに注意
  4. 農地法の手続とは別に、都市計画法の開発許可やインフラ協議が必要な場合がある点に注意。

農地法の許可・届出は、同じ条文でも地域の運用や都市計画の前提によって結論や進め方が変わります。
迷ったときは、当該土地物件の特性をよく知る地元の専門家(農業委員会・都市計画担当課・土地に強い行政書士など)へ早めに相談しましょう。
現地のゾーニングや周辺インフラの事情まで踏まえたアドバイスは、手戻りを防ぎ、最短で安全な手続きにつながります。

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