ビジネスモデルと経費計画の作り方|“収益につながる道筋”で語る

補助金の審査が通る経費計画書は、単なるお金の使い道を示すのではなく収益につながる道筋を示すものであることが重要です。
ここでいう因果は、「誰に」「何を」「いくらで」「どうやって届ける」と、そのために「どの費用が」「どの数値を押し上げるか」を一本の線で見せることです。
ビジネスモデルの骨格→数値化→経費のひもづけの順で解説します。

まず“ビジネスモデルの骨格”を1ページに

ビジネスモデルは顧客像・提供価値・販売方法・収益式の4点で考えます。
ここでの提供価値は、商品そのものではなく顧客ニーズにどう応えるかを指します。
収益式とは、価格×数量−変動費−固定費の基本式のことです。

骨格の置き方(例)

  • 顧客像:30〜50代の在宅ワーカー。
  • 価値:設置10分・故障時48時間内交換で作業停止リスクを半減
  • 販売:自社EC+BtoB卸。
  • 収益式:平均単価2.5万円×月販売数300−変動費率40%−固定費(家賃・人件費など)。

“収益につながる道筋”を数値でつなぐ

数字の出し方はファネル(見込み客→問合せ→成約)で考えると整理が早いです。
ファネルとは段階的に絞り込まれていく顧客の流れのことです。
広告やサイト改修の費用は、各段階のコンバージョン率(CVR)を何%上げるためかに落としてください。
コンバージョン率とは、ファネルの前段階から次段階へ進んだ見込み客の割合のことです。

例:サイト改修の「因果」ミニモデル

  • 現状:月間の広告等による接触数1.5万件、問合せ率1.2%、成約率25% → 月成約45件。
  • 施策:FAQ強化・導線短縮で問合せ率+0.6pt、チャット導入で成約率+5pt
  • 目標:1.5万×1.8%×30%81件(+36件)。
    この36件を生むための費用がいくらで、回収に何ヶ月か”まで書くと説得力が増します。

経費計画は“費目→効果KPI→売上式”で書く

KPIとは売上や利益に至る途中の重要指標(例:接触数、問合せ率、平均単価)です。費用は対象KPI改善幅に直結させます。

費用と効果のひもづけ(比較表)

費目目的KPI期待効果の書き方売上式への接続
EC改修(UI/FEO改善)問合せ率1.2→1.8%(+0.6pt)訪問×問合せ率×成約率×単価
チャット導入成約率25→30%(+5pt)問合せ×成約率×単価
商品撮影・LP制作平均単価2.3→2.5万円成約×単価
広告(指名検索)訪問数1.5→2.0万/月訪問×…

UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーが操作・閲覧する画面や導線のこと、LP(ランディングページ)とは、特定の訴求に特化した縦長の説明ページのことです。

単価と数量の“根拠”を外さない

単価は競合比較+自社の差別化要素で裏づけます。数量はアドレス可能市場(SOM)×到達率で置くと現実的です。
SOMとは地理・チャネル・価格条件を踏まえて現実に狙える市場規模のことです(TAM=理論上の総市場、SAM=自社領域の到達可能市場、SOM=そのうち足元でとれる部分、という階層)。

単価・数量の検証ミニ表

項目根拠結論
平均単価2.5万円競合A:2.4万(交換対応72h)/当社:48h差別化分で+1千円許容
月販売数300→450SOM2万世帯×到達率2.25%広告増+紹介制度で到達率上げ

粗利と回収期間で“投資っぽさ”を消す

粗利とは売上−変動費で、販促・人件費・家賃等の固定費の手前の利益です。補助金は“補助がないと届かないが、あれば継続可能”が筋。投資回収期間(Payback)は追加粗利÷投資額で示します。

回収イメージ(例)

  • 施策総額:600万円(補助後自己負担300万円)。
  • 追加粗利:36件×粗利1万円=36万円/月
  • 回収期間:300÷36 ≒ 8.3ヶ月
    1年内に回収と書ければ、継続性の説明がぐっと楽になります。

補助対象・対象外の線引きを最初に決める

審査で止まりやすいのは、対象外経費の混入です。ルールは制度で違いますが、汎用PC・日常消耗品・税金は対象外になりがち。補助対象経費とは制度で定めた目的(新製品開発・販路開拓など)に直接ひもづく費用のことで、積算根拠(見積・仕様・数量)と支払実績で裏づけます。

積算の見せ方(最小限の型)

  • 単価:ベンダー3社相見積の中央値
  • 数量:KPI改善に必要な構成点数
  • 期間:ローンチ月〜検証月(ローンチ=公開・稼働開始
  • 検証:ABテストとダッシュボードで数値を追う
    ABテストとはA案とB案を同時に走らせ、どちらが成果に寄与するかを検証する方法です。

経費を収益につなげるためのストーリーを作る

「KPIを何%動かすために、どの費用を、いつまでに投下し、その結果どれだけの成約と粗利が増えるか」のストーリーを作り、文書化します。ストーリーの骨格は下記のような流れになります。

  1. 現状と課題(ファネル数値を提示)
  2. 解決策(費目ごとに対象KPIと改善幅)
  3. 売上・粗利の式(単価×数量−変動費)
  4. 回収期間とキャッシュ計画(補助後自己負担の回収見込み)
  5. リスクと代替案(改善幅が半分でも成立する設計)

伝わる図表は“少なく、効く”ものだけ

表は「費用→KPI→売上式」を1枚にまとめます。
グラフは成約件数の推移Before/Afterの棒で示すだけで十分です。
見やすい資料にすることは大切ですが、過度に装飾したり、デザインにこだわるより、説得力のある数値の整合が命です。

まとめ

強い計画書とは“お金の使い道”ではなく“収益につながる道筋”を語ります。
ビジネスモデルの骨格を1ページで見せ、KPIの改善幅→売上式→回収期間を一直線に並べれば、審査側も動きやすくなります。
当事務所では、現状ファネルの棚卸し→KPI設計→積算根拠づくり→数値整合チェックまで並走します。
「この費目、どのKPIに効く?」という段階から気軽にご相談ください。
あなたの事業に合わせて、通る申請書の一本線を一緒に描きます。

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