合同会社設立前に決めておくこと

「個人事業から法人化したい」
「株式会社より費用を抑えて会社を作りたい」
「合同会社で許認可や補助金申請を進めたい」

このような理由で、合同会社の設立を検討する方が増えています。

合同会社は、株式会社に比べて設立費用を抑えやすく、運営も比較的シンプルな会社形態です。一方で、設立時に決めた事業目的、本店所在地、資本金、社員構成などが、後の許認可申請、銀行口座開設、補助金申請、契約書作成に影響することがあります。

特に、建設業、古物商、飲食店営業、宅建業、産業廃棄物、運送関連など、許認可が関係する事業では、「とりあえず会社だけ作る」と後から修正が必要になるケースがあります。

このコラムでは、静岡市・藤枝市・焼津市で合同会社設立を考えている方に向けて、設立前に確認したい実務上のポイントを分かりやすく整理します。

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目次

合同会社とはどのような会社か

合同会社は、会社法上の会社形態の一つです。会社法では、会社として株式会社、合名会社、合資会社、合同会社が定められています。合同会社は持分会社の一種であり、出資者である社員が会社の運営に関わることを前提とした、比較的柔軟な会社形態です。

合同会社では、出資者のことを「社員」といいます。

ここでいう社員は、一般的な意味での従業員ではありません。会社に出資し、会社の構成員となる人を指します。

また、合同会社の社員は有限責任社員です。つまり、原則として、会社の債務について出資額を超えて責任を負うものではありません。

小規模事業、家族経営、一人会社、副業からの法人化、許認可を前提にした事業開始などでは、合同会社が選択肢になることがあります。

合同会社が選ばれやすい理由

合同会社が選ばれやすい理由の一つは、設立時の手続や費用を抑えやすい点です。

合同会社の設立登記では、定款を作成しますが、株式会社のような公証人による定款認証は不要です。法務局の合同会社設立登記申請書の案内でも、添付書面である定款について「公証人の認証は不要」とされています。

また、合同会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金の額に一定の税率をかけて計算されますが、最低額は6万円です。登録免許税法でも、合同会社の設立登記について最低額6万円の扱いが定められています。

株式会社よりも設立費用を抑えたい方、まずは小規模に法人化したい方にとって、合同会社は現実的な選択肢になります。

ただし、費用だけで会社形態を決めるのはおすすめできません。

取引先からの見え方、将来の採用、金融機関との取引、許認可、出資者が増える可能性、会社の意思決定方法なども含めて検討する必要があります。

設立前にまず決めるべきこと

合同会社を設立する前に、最低限決めておきたい項目があります。

主な確認事項は次のとおりです。

  • 商号
  • 本店所在地
  • 事業目的
  • 資本金
  • 社員
  • 代表社員
  • 業務執行社員
  • 事業年度
  • 許認可の要否
  • 設立後の届出や契約関係

これらは、単に登記するために決めるだけではありません。

設立後にどのような事業を行うか、誰が経営判断をするか、どの許認可を取るか、銀行口座を開くか、補助金申請をするかに関わってきます。

特に、静岡市・藤枝市・焼津市で地域向けの事業を始める場合は、事業目的や本店所在地を実態に合わせて整理しておくことが大切です。

事業目的は「広すぎず、狭すぎず」が大切

合同会社設立で特に重要なのが、定款や登記に記載する事業目的です。

事業目的とは、その会社が行う事業内容のことです。

たとえば、次のようなものです。

  • 飲食店の経営
  • 中古品の買取及び販売
  • 建設工事の請負
  • 不動産の売買、賃貸、管理及び仲介
  • インターネットを利用した通信販売業
  • 経営コンサルティング業
  • 各種許認可に基づく事業

事業目的は、将来行う可能性のある事業もある程度含めて設計します。

ただし、何でも入れればよいわけではありません。

事業目的が広すぎると、金融機関や取引先から「何をしている会社なのか分かりにくい」と見られることがあります。一方で、目的が狭すぎると、許認可申請や新規事業開始の際に目的変更登記が必要になる場合があります。

たとえば、古物商許可を取得して中古品販売を行う予定があるのに、事業目的に中古品の買取・販売に関する記載がない場合、申請前に目的変更が必要になることがあります。

飲食店営業許可、建設業許可、宅建業免許、古物商許可、補助金申請などを予定している場合は、会社設立前に事業目的を確認しておきましょう。

許認可が必要な事業は会社設立前に確認する

合同会社を設立するだけでは、許認可が必要な事業をすぐに始められるとは限りません。

たとえば、次のような事業では、会社設立後に別途許認可や届出が必要になることがあります。

  • 中古品販売を行う場合の古物商許可
  • 飲食店を営業する場合の飲食店営業許可
  • 建設業を一定規模以上で請け負う場合の建設業許可
  • 不動産取引業を行う場合の宅建業免許
  • 農地を事業用地に使う場合の農地転用許可・届出
  • 深夜に酒類提供を行う場合の深夜酒類提供飲食店営業開始届

許認可では、会社の事業目的、本店所在地、営業所、役員、管理者、専任者、資本金、使用権限などが確認されることがあります。

そのため、会社を先に作ってから許認可を考えると、後から次のような問題が出ることがあります。

  • 事業目的が許認可の内容と合っていない
  • 本店や営業所として使えない場所を設定している
  • 必要な資格者や管理者が決まっていない
  • 役員構成に確認事項がある
  • 資本金額が許認可や融資の説明上不十分に見える
  • 賃貸物件で事業利用が認められていない

許認可を前提に合同会社を設立する場合は、設立前に行政書士へ相談すると、後の手続を見据えた会社設計がしやすくなります。

本店所在地は「登記できればよい」だけではない

合同会社の本店所在地は、登記上の会社住所です。

自宅、賃貸事務所、店舗、シェアオフィスなどを本店にするケースがあります。

ただし、本店所在地は、登記できるかどうかだけでなく、次の点も確認が必要です。

  • 賃貸借契約で法人登記や事業利用が認められているか
  • 許認可上の営業所として使えるか
  • 郵便物を確実に受け取れるか
  • 銀行口座開設時に説明しやすいか
  • ホームページや名刺に掲載して問題ないか
  • 将来移転した場合の登記費用や手続を理解しているか

たとえば、バーチャルオフィスを本店にして合同会社を設立すること自体は検討されることがあります。

しかし、古物商許可、建設業許可、宅建業免許などでは、実体のある営業所や専任者の常勤性、使用権限が問題になる場合があります。

また、飲食店営業許可のように実際の店舗設備が重要になる許認可では、本店所在地とは別に営業施設の所在地が問題になります。

本店をどこにするかは、見た目以上に実務への影響が大きい部分です。

資本金は少なければよいとは限らない

合同会社は、少額の資本金でも設立できます。

ただし、資本金は会社の信用力や事業計画の説明に関係します。

設立時に極端に少ない資本金にすると、次のような場面で説明が必要になることがあります。

  • 銀行口座を開設するとき
  • 融資を申し込むとき
  • 補助金申請をするとき
  • 許認可申請をするとき
  • 取引先と契約するとき
  • 仕入れ先の審査を受けるとき

会社法では、合同会社を設立する場合、社員になろうとする人は、定款作成後、設立登記までに出資に係る金銭の全額を払い込む必要があります。

資本金は、単に登記簿に載せる数字ではありません。

事業開始時に必要な設備費、仕入資金、広告費、家賃、人件費、許認可費用などを踏まえて、無理のない金額を検討しましょう。

代表社員と業務執行社員を整理する

合同会社では、株式会社のように取締役という機関を置くのではなく、社員の中から業務執行社員や代表社員を定めます。

一人で合同会社を設立する場合は、出資者本人が代表社員となることが一般的です。

複数人で設立する場合は、誰が会社を代表するのか、誰が日常の業務を執行するのかを明確にしておく必要があります。

ここを曖昧にしたまま設立すると、後から意思決定やお金の管理でトラブルになることがあります。

たとえば、次のような点は設立前に話し合っておきましょう。

  • 誰が代表社員になるか
  • 誰が業務を執行するか
  • 出資割合をどうするか
  • 利益配分をどうするか
  • 退社する場合の扱い
  • 重要事項の決定方法
  • 役割分担と報酬の考え方

友人同士、家族、共同経営者で合同会社を作る場合は、設立手続そのものよりも、設立後のルール作りが重要です。

紛争性が高い内容や、出資者間で意見が対立している場合は、弁護士への相談が適切です。

定款はひな形のまま使わない

合同会社設立では、定款を作成します。

定款には、商号、目的、本店所在地、社員、出資、業務執行、代表社員、事業年度など、会社の基本ルールを定めます。

法務局の案内でも、合同会社設立登記の添付書面として定款が挙げられています。

インターネット上には合同会社の定款ひな形が多くあります。

しかし、ひな形をそのまま使うと、事業内容や経営実態に合わない定款になることがあります。

特に確認したいのは次の点です。

  • 事業目的が予定事業に合っているか
  • 許認可で必要な表現が入っているか
  • 社員が複数いる場合の意思決定方法
  • 利益配分の考え方
  • 代表社員の定め方
  • 事業年度
  • 退社や持分譲渡の扱い
  • 公告方法

一人会社であればシンプルな定款でも足りることがあります。

一方で、共同経営や許認可が関係する場合は、定款を丁寧に作ることで、後の手続や説明がしやすくなります。

紙の定款と電子定款の違い

合同会社の定款を紙で作成する場合、設立時の定款原本は印紙税の課税対象になります。国税庁は、印紙税が課税される定款について、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、相互会社の設立時に作成される原本に限られると案内しています。

印紙税法上、会社設立時の定款には1通につき4万円の印紙税が定められています。

一方で、電子定款を利用する場合、紙の原本に貼る収入印紙の問題が生じないため、設立時の費用を抑えられる場合があります。

ただし、電子定款には電子署名やPDF化などの準備が必要です。

ご自身で対応する場合は、環境整備に手間がかかることがあります。専門家に依頼する場合は、定款作成費用とあわせて全体の費用を確認しましょう。

登記申請は法務局への手続

合同会社は、設立登記によって成立します。

法務省の案内では、書面申請の場合、代表者または代理人が登記申請書を作成し、所定の書面を添付して、合同会社の本店所在地を管轄する登記所に提出する必要があるとされています。

法務局では、合同会社設立登記のオンライン申請に関する案内も公開されています。オンライン申請では、電子証明書を用いて電子署名を行うことにより、一部の添付書類の提出が不要になる場合があると案内されています。

なお、行政書士は、許認可や官公署提出書類、権利義務・事実証明に関する書類作成などを扱いますが、商業登記申請の代理は司法書士の業務領域です。

そのため、合同会社設立では、行政書士が定款作成や許認可を見据えた会社設計をサポートし、登記申請についてはご本人申請または司法書士との連携で進める形になります。

設立後に許認可が必要な場合は、会社設立と許認可申請を別々に考えず、最初から全体の流れを整理しておくことが大切です。

合同会社設立後に必要な手続も確認する

合同会社は、登記が完了すれば終わりではありません。

設立後には、税務署、県税事務所、市町、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどへの届出が関係することがあります。

税務に関する届出や消費税、役員報酬、インボイス、決算申告などは税理士の専門領域です。従業員を雇う場合には、社会保険や労働保険の手続も確認が必要です。

また、許認可が必要な事業では、会社設立後に次のような手続を進めることがあります。

  • 古物商許可申請
  • 飲食店営業許可申請
  • 深夜酒類提供飲食店営業開始届
  • 建設業許可申請
  • 宅建業免許申請
  • 農地転用許可・届出
  • 契約書・利用規約の整備
  • 補助金申請の準備

合同会社を作る目的が許認可事業である場合、設立後の手続まで見据えて準備しましょう。

静岡市・藤枝市・焼津市で合同会社を設立する方へ

静岡市・藤枝市・焼津市では、個人事業からの法人化、家族経営の会社設立、許認可事業の開始、ネット販売や小規模店舗の開業など、合同会社設立の相談が考えられます。

地域密着型の事業では、会社設立後すぐに契約、口座開設、店舗準備、許認可申請、補助金申請が続くことがあります。

そのため、設立時から次の点を整理しておくと安心です。

  • 会社名が事業内容に合っているか
  • 事業目的に許認可予定の内容が入っているか
  • 本店所在地が実態と合っているか
  • 賃貸物件で法人登記や事業利用が可能か
  • 資本金が事業内容に見合っているか
  • 代表社員や業務執行社員の役割が明確か
  • 設立後に必要な許認可や届出を把握しているか

アクシスサポート行政書士事務所では、静岡市・藤枝市・焼津市を中心に、合同会社設立に関するご相談をお受けしています。

「合同会社にするべきか、個人事業のままでよいか迷っている」
「許認可を取る予定なので、事業目的を確認したい」
「設立後に古物商許可や飲食店営業許可を取りたい」
「法人化と補助金申請の準備を整理したい」

このような段階でもご相談いただけます。

初回相談は無料です。状況がまとまっていなくても、事業内容、設立予定時期、許認可の有無をお聞きしながら、次に確認すべきことを一緒に整理します。

よくある質問

Q. 合同会社と株式会社のどちらがよいですか?

設立費用を抑えたい、小規模に始めたい、出資者と経営者が同じ事業であれば、合同会社が合う場合があります。一方で、外部投資、採用、取引先からの見え方を重視する場合は株式会社が向くこともあります。事業内容と将来計画で判断しましょう。

Q. 合同会社の設立に定款認証は必要ですか?

合同会社の定款には、公証人による認証は不要です。ただし、定款そのものは必要です。法務局の案内でも、合同会社設立登記の添付書面として定款が挙げられ、公証人の認証は不要とされています。

Q. 合同会社の設立費用はどのくらいですか?

主な法定費用として、設立登記の登録免許税があります。合同会社の設立登記の登録免許税は、最低額が6万円です。紙の定款を作成する場合は、印紙税が問題になることがあります。

Q. 資本金1円でも合同会社は作れますか?

制度上は少額資本金で設立できます。ただし、銀行口座開設、融資、補助金、許認可、取引先審査の場面では、資本金額が事業実態に見合っているかを見られることがあります。費用だけでなく、事業開始資金として必要な金額を考えて決めましょう。

Q. 合同会社設立後すぐに古物商許可や飲食店営業許可を取れますか?

取れる可能性はありますが、事業目的、本店・営業所、管理者、施設設備、使用権限などの確認が必要です。許認可を予定している場合は、会社設立前に事業目的や営業所を確認しておくと進めやすくなります。

Q. 行政書士に合同会社設立を相談できますか?

定款作成、許認可を見据えた事業目的の整理、設立後の許認可申請や届出の相談は行政書士に相談できます。ただし、商業登記申請の代理は司法書士の業務領域です。必要に応じて司法書士や税理士と連携して進めることが大切です。

まとめ

合同会社は、設立費用を抑えやすく、小規模事業や個人事業からの法人化に向いている会社形態です。

しかし、会社を作ることだけを急ぐと、設立後に事業目的、本店所在地、資本金、代表社員、許認可との関係で困ることがあります。

特に、古物商許可、飲食店営業許可、建設業許可、宅建業免許、補助金申請などを予定している場合は、合同会社設立前の会社設計が重要です。

静岡市・藤枝市・焼津市で合同会社設立を検討している方は、「会社を作る手続」だけでなく、「設立後に何をする会社なのか」まで整理しておきましょう。

アクシスサポート行政書士事務所では、合同会社設立に関する初回無料相談をお受けしています。許認可を見据えた事業目的の作り方、法人化の進め方、設立後の手続整理でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

状況がまとまっていなくても大丈夫です!

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この記事を書いた人

行政書士(静岡県行政書士会所属) ・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 ・宅地建物取引士
住宅業界のキャリアは30年以上。住宅販売から情報システムの企画・運用からマーケティングまで幅広く担当。
宅地建物取引士として分譲地・分譲住宅の販売にも携わってきました。
建設業界の現場と現場と管理の両面を知る強みを活かし、建設業・宅建業、相続手続を分かりやすくサポートいたします。
ホームページ・各種SNSなどのWEB制作サービスも可能です。

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